記者会見するイージス艦「あたご」の舩渡健・艦長(左端)=27日午後3時40分、千葉県勝浦市(大西正純撮影)
海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故で、あたご艦長の舩渡健1等海佐(52)は27日、千葉県勝浦市を訪れ、行方不明の吉清治 夫さん(58)、哲大さん(23)親子の家族や新勝浦市漁協関係者らに謝罪後、記者会見した。艦長は「日本の護衛艦がこのような事態を起こし、深くおわび する」とし、「監督責任を含めた全体の責任が私にある」と明言した。あたごの航海長が事故後に防衛省に呼ばれ事情聴取を受けたことについては、「『状況の 分かる者を送れ』と指示があった」と述べたが、指示したのが誰かは「記憶があいまいだ」と述べた。主な一問一答は以下の通り。
・ 【フォト】謝罪する艦長
--吉清さんの家族にかけた言葉は
「大変申し訳なく、一刻も早い生還を祈っている。二度とこのような事故がないように安全対策を万全にすると伝えた。奥様から引き続き真相究明をといわれた」
--艦長としての責任は
「あたごの指揮は私が執っている。監督責任を含めた全体の責任が私にある」
--なぜ事故を防げなかったのか。
「教育訓練などの中で何が不足していたのか、これから何をすべきかを再構築する」
--事故当時、情報のやりとりは十分だったのか
「常日ごろの私の指示について問題がなかったかを考えている。通常の指導の中で特に大きな問題はなかったと思っている。何か足りないところがあったのではないかと考えている」
--乗員の引き継ぎに問題はなかったのか
「捜査中なので問題があったかなかったかは分からない。何が事故につながったかについては捜査中としか言えない」
--十分な引き継ぎがあれば事故は起こらないのではないか
「一般論ではそうだ。保安庁の調査の中で継続して捜査しているところだと思う」
--航海長を防衛省に一度戻して事情聴取したが、誰の指示を受けたのか
「忙しい中でその時点でどこから(指示を受けたか)というのははっきり理解していない。覚えていないというか、いろいろなところから来ているのでどこからか特定することはできない」
--指示を受けた記憶はあるのか
「ある。航海長を指名したのは私。『誰か状況の分かる者を送れ』という指示だった。(指示者については)先ほど申し上げた通り。あいまいなので申し訳ない」
--艦長は何時ごろから仮眠を取っていたのか
「そんなに長い時間ではないが、(事故の)1時間より長い(1時間以上前から)と思う」
--混雑海域を通る場合、こういう指揮を執るべきだったと悔いている部分はあるか
「漁船が多い状態だったというのを私が理解していなかったのは問題だと思っている。あの時間にあれだけの漁船がいるという認識がなかった」
--自衛隊がたるんでいるという批判の声がある
「こういう問題を起こしたので、ご指摘はその通りだと思うが、全般的に見て士気が下がっているとは思っていない。事故を起こし、そういう印象を与えたことは大いに反省している」
--自身の進退については
「捜査が終わってから考える」
--小型船なのでよけてくれるという認識はあったのか
「ありません」